ゼロラボ施術情報
糸リフト、糸が溶けたら効果は終わりですか
こんにちは。弘大入口(ホンデイック)駅1番出口のゼロラボクリニック、代表院長のキム・ドンウォンです。
糸リフトのご相談でいちばん多くいただく質問です。糸が吸収される素材であることは、皆さんご存じのうえでいらっしゃいます。ですから、 溶けた瞬間に元に戻ってしまうのではないかとお尋ねになります。
結論から申し上げますと、そうではありません。ただし、 「だから一生もちます」ということでもありません。 今日はその中間を整理してみます。糸がいつ溶けるのか、溶けたあとに何が残るのか、そしてそれがどのくらいもつのか、という話です。
当院で使う糸はこういうものです
糸リフトに使う素材は、 PDO(ポリジオキサノン)の糸が基本です。 手術用の吸収性縫合糸として長く使われてきた素材なので、体内での反応が比較的よく知られています。
以前は突起のない モノ糸もよく使いましたし、スプリングタイプも使っていました。現在は 突起のあるコグ(cog)糸を主に使っています。たるんだ組織を実際に引っ掛けて持ち上げる力は、突起から生まれるからです。
製造方式も カット方式からモールド方式へ と移っていく流れにあります。カット方式は糸の本体を削って突起をつくり、モールド方式は型で成形して突起を立てます。
ただ、この点は正直に申し上げておかなければならないと思います。 製造方式が糸の物性を変えることは、実験で確認されています。PPDOのコグ糸を三つの方式でつくり、37°Cで32週間にわたって分解させた研究では、 加工温度がもっとも高い射出成形の糸がもっとも早く分解し、熱を加えないカット方式の糸が分子鎖をもっともよく保って、もっとも遅く分解しました[1]。
つまり、 分解の速さだけを見れば、カット方式が有利です。 モールド方式のほうが優れているという根拠は、私どもには確認できていません。
それでも当院がモールド方式の糸を使っている理由は、別のところにあります。突起を削り出さないので糸本体の断面が保たれ、突起の形が均一に仕上がります。 ただ、この二点を直接測定して比較した研究は、私どもには見つけられませんでした。 ですからこれは論文ではなく、当院の臨床的な判断として申し上げています。
糸はいつ溶けるのですか
タイトルの前提から整理しておきます。 「溶ける」という時点は、資料によって異なります。
| 資料 | 時点 |
|---|---|
| ラットの皮膚での吸収 | 約6か月 |
| ラットモデルでの吸収・分解 | 約24週 |
| ヒトでの超音波による追跡 | 12か月の時点でも糸が残っている |
ラットとブタの実験では、 24週前後で吸収されます[2]。ところが、ヒトで超音波によって直接追跡した資料を見ると、鼻に入れたPDO糸の直径は1か月の1.113mmから 12か月には0.857mmへと細くなっただけで、依然として残っていました[3]。
物性が先に落ち、形は後から消えていきます。 縫合糸のもとの開発研究では、PDOは 4週で引張強度58%、8週で14%が残っていました[4]。糸がまだ目に見える時点でも、 支える力はすでにかなり落ちているということです。
ですから、問いをこう変える必要があります。 糸が残っているかどうかではなく、何が組織を支えているのか、です。
突起が鈍っても持ちこたえる理由
ここがこの記事の核心です。
ヌードマウス12匹の背中の皮膚にPDOのコグ糸を入れ、組織を観察した研究があります。結果は明確です。 同じ糸のなかでも、突起のある区間の周囲の線維性被膜は、突起のない区間の3倍でした。そして、糸を交差させて配置した場合は、扇状に配置した場合よりも 線維化した領域の幅と密度が5倍でした[5]。
著者らは論文のなかで、こう書いています — 糸リフトの持続期間には議論があり、 物理的・機械的なリフティングに生化学的な要因を加えるという、視点の転換が必要であると。
つまり、 糸は組織を引っ掛けて持ち上げているあいだに、その場所に線維構造をつくっておきます。 突起の力が抜けてくるころには、その構造が役割を引き継ぎます。
これは動物実験にかぎった話ではありません。ヒトでも確認されています。
- 40〜50歳で中等度の顔面のたるみがある 10名にPDO糸を入れ、30・60・90・120日に12MHzの超音波で層を測定した研究では、 全例で糸の周囲のコラーゲン形成が画像で確認され、真皮層が増加しました[6]
- 眉間のシワにPDO糸を入れた ランダム化二重盲検研究40名でも、超音波で 真皮の肥厚が確認されました[7]
反対側の根拠も併せてご覧いただく必要があります。突起の 機械的な把持力は、時間が経つにつれて落ちていきます。 糸を溶液に浸し、0日・7日・14日に引っ張ってみた実験では、最大荷重が下がり続けました[8]。
力は抜け、構造は残ります。 この二つがそれぞれに根拠を持っています。
突起の数と配置も結果を変えます
同じ素材を使っても、糸の構造によって組織の反応は変わります。
PDOとPCLをそれぞれ単糸・4本束・12本束・コグの四つの形態でつくってラットに入れ、2週間おきに観察した研究では、 糸と組織が接する表面積が大きいほど、組織の反応も大きくなりました。 炎症細胞と筋線維芽細胞、線維芽細胞がいずれも増えました。束が複数ある構造も、同じ方向に働きました[2]。
先に見たヌードマウス研究の 交差配置で5倍も、同じ軸の根拠です。突起があるかどうかだけでなく、 どう重ねて配置するかが、つくられる構造の密度を変えます。
ヒトでも似たような所見があります。カット方式の3D双方向コグ糸で中顔面を持ち上げた30名の前向き研究では、シワの評価尺度が1か月の2.33から 6か月には1.47へ改善しましたが(p < 0.001)、多変量解析で有意な予測因子は 時間と糸の本数でした。年齢と体格指数(BMI)は影響がありませんでした[13]。
ただし、「多く入れるほどよい」という意味に受け取らないでください。 すぐあとで申し上げるベクターの研究が、その反対の根拠です。
では、どのくらいもつのですか
ここでも正直に申し上げます。
当院が相談の際にご案内している期間は 9〜10か月ほどです。診療のなかで見ている経過を基準にした数字です。
ただし、この数字を測定した論文はありません。 研究の評価時点が1・3・6・12か月に集まっているため、9〜10か月を測った研究がなく、文献の数値も一方向にまとまってはいません。
| 研究 | 対象数 | 結果 |
|---|---|---|
| イタリアの後ろ向き研究 | 160名 | 1か月までは改善、 6か月には明らかに減少、1年では残らず |
| 韓国国内の中顔面研究 | 64名 | 満足度 1か月4.7/5.0 → 12か月2.8/5.0 |
| 韓国国内の多層テクニック研究 | 73名 | 12か月まで有意な減少なし |
対象数がもっとも多い研究が、もっとも否定的です[9]。160名を見た資料では、6か月の時点ですでに明らかに減っており、1年では残っていませんでした。
中顔面に18GのPDOコグ糸を3本ずつ入れた64名の研究では、12か月で満足度が4.7から2.8に下がりました。盲検下の医師評価も4.5から3.1へと、同じ方向でした[10]。 0になるわけではありませんが、半分近くまで落ちた状態です。
整理しますと、 文献は6か月から12か月のあいだで分かれます。 当院が申し上げている9〜10か月はその範囲のなかにありますが、 論文で断定できる数字ではありません。 この点を知ったうえで始められるほうがよいと思われます。
手技が結果を分けます
糸リフトは素材よりも、 どう入れるかが結果を大きく左右します。 同じ糸を使っても結果が分かれる施術です。これは根拠がはっきりしています。
カダバー(ご遺体)5体の顔の左右にそれぞれ異なる方式で糸を入れ、3D画像で測定した研究があります。一方は180mmの糸を20度の軌道で、反対側は100mmの糸を50度の軌道で入れました。
| 長い糸・20度 | 短い糸・50度 | |
|---|---|---|
| 垂直方向のリフティング | 1.42mm | 1.24mm(差なし) |
| 水平方向のリフティング | +3.42mm | −2.02mm |
水平方向では符号が逆転しました(p = 0.001)[11]。同じ顔で糸の長さと挿入角度だけを変えたのに、一方は引き寄せられ、反対側はむしろ押し出されたということです。
ベクターの設計も同じです。同じ研究グループが単一ベクターと二重ベクターを比較したところ、 二重ベクターは垂直方向のリフティングは大きかったものの(4.45mm対2.99mm) 水平方向のリフティングとフェイスラインのボリューム減少は、むしろ単一ベクターのほうが良好でした。 著者らの結論は 二重ベクターが全体として優れているわけではないというものでした[12]。
多く入れれば良くなるわけではない、ということです。 どの層に、どの方向に引っ掛けるかが先です。
ほかの施術と一緒に行うとよいのですか
一緒に行えば必ず良くなる、とは申し上げにくいところです。 組み合わせによって根拠が分かれます。
役に立った組み合わせ。 糸と超音波を併用した58名の研究では、回を重ねるほど美容的なスコアが有意に良くなり、 糸を先に行っても超音波を先に行っても、結果に差はありませんでした[14]。額のシワでは、ボツリヌスを併用したほうが有意に良好でした(p = 0.001)。ただし同じ研究で、 眉間では有意ではありませんでした(p < 0.112)[15]。
役に立たなかった組み合わせ。 ブタにPDO糸を入れ、2週間後に同じ場所へ高周波を行った研究では、 併用群はそれぞれの単独よりもコラーゲンを多くつくれませんでした。 むしろ6週の時点で脂肪層の炎症反応だけが増えました。著者らは 併用は推奨しないと結論づけています[16]。先に見た眉間のランダム化研究での赤色光の併用も、真皮の厚みに追加の効果はありませんでした[7]。
ですから当院では、組み合わせを一律にお勧めすることはしません。 何を一緒に行うかは、その場で何が足りていないのかを見て決めます。
当院が相談の際に確認すること
- たるんだ組織があるのか、ボリュームが落ちているのか — 糸は引っ掛けて持ち上げる施術です。ボリュームが落ちている場合は、別のアプローチが合います
- 皮膚の厚さと皮下脂肪の量 — 薄いと糸が透けて見えることがあり、厚いと引っ掛かる力が弱くなります
- 以前に糸リフトを受けられたことがあるか — ある場合は、入れた位置と時期を確認します
- ご希望の方向 — 上へ持ち上げるのか、横へ引くのかによってベクターが変わります
- いつまでを見ていらっしゃるか — 行事のご予定があれば、その時点から逆算して組みます
おわりに
多くの方が「糸が溶けたら元の木阿弥ではないか」とお尋ねになります。私の答えはこうです。
糸がなくなっても、その場所につくられた線維構造は残ります。 突起が鈍ることと、効果が消えることは同じではありません。
ただし、 その構造が永久に続くわけではありません。 文献が報告する持続期間は6か月から12か月まで差があり、当院が申し上げている9〜10か月も診療の経験から出てきた数字です。いずれにしても、 一度行えば終わりという施術ではない、という点は確かです。
とても簡単な施術というわけではありませんが、 どのような状態に用いるとよく効くのかが比較的はっきりしているため、うまく使えば大きな効果が得られる施術でもあります。 まずはその判断からご一緒にしてみるのが順序だと考えています。
参考文献
[1] Li D, Wang Q, Zhang K. Effect of Processing Technology on the Degradation Behavior of Poly(p-dioxanone) Cog Threads. Aesthet Surg J Open Forum. 2026;8:ojag073. DOI: https://doi.org/10.1093/asjof/ojag073
[2] Ha YI, Kim JH, Park ES. Histological and molecular biological analysis on the reaction of absorbable thread; Polydioxanone and polycaprolactone in rat model. J Cosmet Dermatol. 2021;21(7):2774-2782. DOI: https://doi.org/10.1111/jocd.14587
[3] Kim JS, et al. Ultrasonographic and three-dimensional evaluation of coiled polydioxanone thread augmentation rhinoplasty. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2026;14(5):e7500. DOI: https://doi.org/10.1097/GOX.0000000000007500
[4] Ray JA, Doddi N, Regula D, Williams JA, Melveger A. Polydioxanone (PDS), a novel monofilament synthetic absorbable suture. Surg Gynecol Obstet. 1981;153(4):497-507. PMID: 6792722
[5] Song JK, Chang J, Cho KW, Choi CY. Favorable Crisscrossing Pattern With Polydioxanone: Barbed Thread Lifting in Constructing Fibrous Architecture. Aesthet Surg J. 2021;41(7):NP875-NP886. DOI: https://doi.org/10.1093/asj/sjab153
[6] Lots TCC. Effect of PDO facelift threads on facial skin tissues: An ultrasonographic analysis. J Cosmet Dermatol. 2023;22(9):2534-2541. DOI: https://doi.org/10.1111/jocd.15761
[7] Garcia PC, Meireles DP, Tassinary JAF, Pavani C. Combining red photobiomodulation therapy with polydioxanone threads for wrinkle reduction in the glabella region: A randomized, controlled, double-blind clinical trial. J Biophotonics. 2024;17(8):e202400139. DOI: https://doi.org/10.1002/jbio.202400139
[8] Hong W, et al. Evaluation of the Pull-Out Strength of Barbed Sutures. Polymers (Basel). 2022;14(11):2170. DOI: https://doi.org/10.3390/polym14112170
[9] Bertossi D, Botti G, Gualdi A, et al. Effectiveness, Longevity, and Complications of Facelift by Barbed Suture Insertion. Aesthet Surg J. 2019;39(3):241-247. DOI: https://doi.org/10.1093/asj/sjy042
[10] Myung Y, Jung C. Mini-midface Lift Using Polydioxanone Cog Threads. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2020;8(6):e2920. DOI: https://doi.org/10.1097/GOX.0000000000002920
[11] Braun M, Frank K, Freytag DL, et al. The Influence of the Insertion Angle on Middle and Lower Face Tissue-Mechanics When Treating the Nasolabial Folds with Facial Suspension Threads - An Experimental Split-Face Cadaveric Study. Facial Plast Surg. 2020;36(3):268-275. DOI: https://doi.org/10.1055/s-0040-1712469
[12] Liew S, Frank K, Kolenda J, Braun M, Cotofana S. Comparison of Single- Versus Dual-Vector Technique Using Facial Suspension Threads: A Cadaveric Study Using Skin Vector Displacement Analysis. Dermatol Surg. 2020;46(12):1721-1727. DOI: https://doi.org/10.1097/DSS.0000000000002574
[13] Park BY, et al. Efficacy of Midface Lifting Using Three-dimensional Bidirectional Cog Polydioxanone Threads Manufactured by Cutting Method. Aesthetic Plast Surg. 2026;50(4):1587-1595. DOI: https://doi.org/10.1007/s00266-025-05327-4
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[16] Li K, et al. Effect of combined polydioxanone thread and radiofrequency treatment in a porcine model. J Cosmet Dermatol. 2022;21(8):3479-3485. DOI: https://doi.org/10.1111/jocd.14651
上記16編はPubMedに収載された論文です。本文は一般的な医学情報であり、個々の状態に応じた判断は診療を通じて行われます。
本記事は医療情報の提供を目的として Zero Lab Clinic が直接作成しました。すべての施術は個人の皮膚状態や体質によって結果が異なり、副作用が生じる可能性があります。施術を受けるかどうかは、診察のうえ医師と十分にご相談のうえお決めください。
